クレペリンの作業興奮
前回の記事(こちら)を投稿したところ、
ポルトクオーレの喜田代表から、
心理学ではクレペリンの作業興奮という心理作用があると教わり、
興味を持ちましたので補足として記事にしたいと思います。
エミール・クレペリンはドイツの医学者、精神科医で、
内田クレペリン精神検査でも有名なあのクレペリンです。
内田クレペリン精神検査は性格検査・職業適性検査の一種で、
クレペリンの作業曲線を元に、内田勇三郎らが開発したものです。
実際にクレペリンと内田の二人が協力して開発したものではないので、
もしも公認心理師試験で、
「この検査は内田勇三郎とクレペリンが共同制作した」と出題されたら×です。
少し話が逸れましたが、今回はクレペリンの研究が元となっている「作業興奮」について簡単に解説したいと思います。
前回の記事でも似たような内容を書きましたが、
人には一旦行動を始めるとやる気が出て、自然と継続できてしまうことがあります。
この心理現象を「作業興奮」と呼びます。
では作業興奮はどのように引き起こされるのでしょうか?
まず、作業興奮状態となるにはやる気を出さなければなりません。
やる気はドーパミンという神経伝達物質によってもたらされています。
ドーパミンは脳の側坐核というところから分泌されており、
側坐核は刺激されないとドーパミンを出してくれません。
では、側坐核を刺激する最も簡単な方法はと言うと、
それは「手足を動かすこと」です。
手足を動かすこと、つまり行動することによってドーパミンが分泌されるのです。
例えば、スポーツ選手がウォーミングアップでやる気が出てくるのも、
この作業興奮状態を利用したものだと言われています。
なので、頭の中で「今日はこれをやろう、あれをやろう」と強く念じるよりも、
机に向かい、ペンを持ち本のページをめくる方がドーパミンは分泌されます。
だからこそ、前回記事のノルマのハードルを下げてまず行動に移すことは、
作業興奮の点から見ても非常に理にかなっていたのです。
自分の人生を思い返してみても、ベットの中で「勉強しなきゃなぁ…」と思い、
そのまま何もせずに一日が終わっていたことは多々ありました。
確かに私は人より意志が弱いと当時から自覚していましたが、
この理論を知っていればもっと勉強できていたのではないかと後悔が絶えません。
今は「自分は意志が弱いから…」と、自分を責めるのではなく、
むしろ意志が弱いからこそ、やる気を出すテクニックを使ってみようと、
生産的に考えるようになりました。
このように心理学は専門家でなくても、
身近な生活の中にも見つけられる非常に面白い学問です。
作業興奮を利用しなくとも楽しく学んでいけたらと思っております。
最後まで読んでいただきありがとうございました。